2007/07/24

仮説:仕事ができる会社チェックリスト

プロジェクトベースで、いろいろな会社の方と仕事をしていると、一つ気が付いたことがあります。

それは「その会社が今後、拡大するかしないかは、仕事の完成日でわかる。」というものです。

資料作成を例にすると、拡大しそうな会社とそうでない会社ではやり方が異なってきます。

拡大が難しそうな会社の方達はいつも時間に追われています。
従って、資料があがってくるのも締切ギリギリ。
話を聞いていると、試験勉強の学生のようです。

一方、拡大しそうな会社は前もって準備をしておき、締切前に確認できたりします。

従って、締切前にもう一度、ブラッシュアップをする時間が充分にあるので、こちらとしても良い仕事が出来たなぁと思うことがよくあります。

ということで、個人的には、何か成果物を作成する際には、より良い品質のものが出来るよう前もって検討を行います。

拡大が難しいなあという会社は、そこで議論した内容(結論や方向性)に基づいたアクションを締切ギリギリにならないとやりません。

直前なので、時間が足りない・・・そして随分前に議論したので、議論内容を思い出す時間を取られる・・・悪循環の始まりです。

一方、拡大しそうな会社は、まだ熱が冷めないうちに手を付けるので、仕事が早い。

関係者が増えてくれば、増えてくるほど直前で何かをしようと思ってもできることは限られてきます。

直前で何とかしよう・・・ということは、自分で何とかしようとしているのに他ならない。
(時間的に他の方に任せるのは無理)

従って、権限委譲も行いにくく、社内人材育成もままならないのでは?と考えてしまいます。
(本人が倒れるリスクとか考えたらキリがありません)

前もってやることは、「影響範囲の拡大」、「打ち手の広さの確保」と「リスク回避」につながります。

ということで、いつも試験勉強の学生みたいに一夜漬けで仕事をしている会社は、その影響力も限られるので、会社の拡大にはつながらないと思います。

「忙しい、忙しい」という言葉の裏に、「私の頑張りを認めて。」というメッセージが含まれていたり、夜遅くまで仕事をすることが、頑張っているという価値観の会社では、なかなか理解できないことかもしれません。

こちらとしては、成果にフォーカスしてプロセスを考えているので、どうしたものかといつも考えさせられてしまいます。

前もって議論を行い、締切日が随分先であることがわかって安心している顔を見ると、(ホントに申し訳ないですが・・・)正直ガックリきてしまうこともあります。

「重要度が高く、緊急度が低い」状態で始めたにも関わらず、手を付けないで自らの手で「重要度が高く、緊急度が高い」状態にしてしまうので、長い目で見ればお付き合いしにくいです。

端から見ている印象ですが、締切ギリギリまで手を付けない会社は、スケジュールの主導権を握っていない(自分達で考えていない!?)印象があります。

相手が言った締切日までに手が付けられそうならラッキー。
そうでなければ、何とか間に合わせようと、少ない時間で気合と根性で頑張る・・・。
「重要度が高く、緊急度が高い」仕事しか行わない。

こんな印象です。

個人的には、気合と根性よりも、成果物の品質をコミットできる日付を教えてくれた方が安心するし、建設的な議論になりそうな気がします。

ここまで書いてきて思ったのですが、スケジュールにコミットできないのは、自分達が提供するサービスの品質に基準を持っていないからかもしれませんね。
(今後は、この辺を気を付けながら、議論していきたいと思います。)

ということで、まとめ。

何でも前倒しでできる会社は強い!

「重要度が高く、緊急度が低い」仕事が成長の糧になりそうなので、いかに前倒しできるか?
前倒しを常に意識できるような単純かつシンプルな表現はないだろうか?

スピード、スピード、スピード!?

2007/07/19

購買動機の不思議

「人はどうしてモノを買うんだろう・・・。」

商売をしていると、マーケティング、セールスを考えていく中で、顧客心理というか購買動機が気になります。

自分で例えれば、100%外食の身なので、キッチン用品は生活に全く必要がありません。
しかし、インテリアショップに行くと、思わず欲しくなるキッチン用品がたくさんあります。

生活に必要のないものなのに、どうして欲しくなるのか?

ここに購買動機が隠れているような気がして、ちょっと考えてみました。

理由は簡単。

個人的にデザインが好き・・・ということ。

見た目がシンプルで自分好み・・・だけでなく、機能的にも考えられてデザインされているものだと、必要がないのに無性に欲しくなってしまう。

ということで、わかったのは、自分が購買時に大切にしているのは、機能(仕様)よりも「持っていて気持ちがいいか」という所有欲。(笑)

見た目から感じる良さなど、言語化が難しいものが購買動機に入っています。

このように言語化できないものが購買動機にあると、商売する方は大変だ!!
どうやって広告すればいいのか・・・。

ということで、言語化できないものを表現する形として、ブランドマークがあるのかもしれないですね。
パブロフの犬ではないが、ブランドマークを見ることで想起される感情が商品の購買に繋がると思います。
(もしかすると、自分はブランドものに弱い!?)

機能的な差別化が難しいものや、差別化してもすぐに追いつかれてしまうものは、ブランド作りをするといいかもしれないですね。

個人的には家電がいいのかなと思います。

3種の神器といわれたテレビ、冷蔵庫、洗濯機。
新家電3種の神器、薄型テレビ、DVDレコーダー、デジタルカメラ。
新3種の神器、食器洗い乾燥機、生ごみ処理機、IHクッキングヒーター。

いろいろな3種の神器がありますが、これらの商品、キッチン用品のように欲しくならないんです。

冷蔵庫・・・あるけど、中にはペットボトルのみ。正直あってもなくても変わらない。
テレビ・・・生活に必要なし
DVDレコーダー・・・上に同じ
デジタルカメラ・・・持っているがほとんど使わず
食器洗い乾燥機・・・皿持っていない(笑)
生ごみ処理機・・・生ごみが出ない。ポストに入るチラシが多いのでシュレッダーはいるかも。
IHクッキングヒーター・・・料理しない(笑)

このように自分の生活に必要のないものがたくさんあるのですが、これらの商品がキッチン用品のように欲しくならないのは、「非言語化に関わるデザインによる差別化」ではなく、「機能による差別化」に集中しているからだと思います。
(書いていて、自宅に来る人が「人が生活しているニオイがしない」と言うのが少しわかったような気がします。)

お店に行けば、これらの商品は機能的な差別化に集中していると思いますが、そこからちょっと離れて、語らずに美しいプロポーションを持った家電がいれば買ってしまうような気がします。
(大手量販店でアップルの売り場が、言葉少なく、そのような雰囲気を醸し出しているような・・・。)

機能的な差別化ではないので、少々スペックが落ちても売り場に残る気がしますし・・・。
値崩れや商品サイクルを考えても悪くない選択肢かと思います。

ということで、購買動機を考えると、「語らずして売れるものがありそうだ」ということがわかりました。

さてさて、自分の商売にどうやって、この気付きを反映させようか・・・。

2007/07/03

HPなし・取材厳禁・広告なしの繁盛店から商売の基本を学ぶ

最後の晩餐に何が食べたいですか?

こう聞かれたら、あなたは何て答えますか?

正直自分は困ってしまい、答えられないのだが、しいて言うならば「和食亭・磨匠で出されたものを食べたい。」と答えるかもしれない。

このお店、飲食店ひしめく激戦地・新宿でホームページもなく、取材を受けることも広告を出すことも全くしないにも関わらず、連日連夜、予約がなかなか取れないお店なんです。

とすると、さぞかし美味しいものが出てくるのだろう・・・と思われるかもしれませんが、料理は至って普通。
看板メニューや、絶対これは食べなきゃ・・・というオススメがあるわけでもない。

お店のつくりに凝っているわけでもなく、むしろコレという特徴がないので、他人にオススメしにくいぐらい。(場所もわかりにくいし・・・。)

そんなお店にどうしてハマッたのか?

実は、以前、あまりの盛況ぶりが気になって、店主の鈴木さんにお話をお伺いしたことがあるんです。

すると、やはり開店当初はお客様がこなかったらしい・・・。

鈴木さんは外でビラを配ったり、広告を出したり・・・。

また、飲食コンサルタントのコンサルティングを受け、助言に従い、新規メニューの開発や、流行を取り入れた個室を造るなど、それこそ昼夜休まず取り組んだそうだ。

でも、全く結果が出なかった・・・。

こんなに頑張ったにも関わらず結果が出ない・・・。
そんなある時、鈴木さんはこう思ったそうだ。

「他人に頼ったり、流行を追いかけるのではなく、自分がやれることを、徹底的にやろう。」

それ以来、売上が少しずつ上がっていき、現在のような盛況ぶりになったと言う。

結果には必ず原因がある。

とすると、ここには何か成功のきっかけがあるはず・・・と、そのテクニック(何をやったか)を知りたくなってしまうのだが、このお店、驚くほど特徴がない。

鈴木さんに何をやったのか、いろいろ聞いてみたけれど、飲食店として普通のことをしただけ。
回答も当たり前の回答が続き、なぜ繁盛するようになったのか全くわからない。

ということで、その話を聞いて以来、注意しながらお店を見ていると、気が付いたことがあります。

それは、本当に「自分がやれることを、徹底的にやっている」ということ。

例えばお出迎え。
挨拶の声は、相手の目を見ながらはっきりと、お辞儀の角度もきれいな45度。
お客様の足元に注意を向けながら、早すぎず遅すぎないエスコート。

店内は隅々まで掃除が行き届いている。(特にトイレなど水周りの綺麗さといったら)
箸や座布団は綺麗にまっすぐと置かれていて、乱れが全くない。

料理の出すタイミングや出し方、盛り付け方など、こちらを考えた対応をしてくれるので、とても気持ちがいい。

そして話を聞くと、料理の素材にも相当こだわっているらしく、例えば野菜なら無農薬野菜・有機野菜で、自分が現地で確認をして納得したものだけを使用しているそうだ。

野菜に限らず、そのこだわりは聞いていてびっくりする。
あまりにも凄いので鈴木さんに言ってみた。

「それだけこだわっているのなら、メニューなり何なりでアピールした方がいいじゃないですか?」

「それにそれだけ手間暇かけているなら、もう少し値段を上げても大丈夫だと思いますよ。」

「実際、そういうお店って多いし、それをウリにして固定客を掴んでいる所も多いと思います。」

個人的には、お店がもっと繁盛してほしいと思って言った事なのだが、鈴木さんの返事を聞いて、ハッとさせられた。

「そりゃ、そういうやり方もあるとは思うけど、オレはやらないね。」

「お客様に美味しいものを食べてもらいたい、安心で安全な食事をしてもらいたいと思えば、当然のことだろ。」

「その当たり前のことを、偉そうに言うだけでなく、それで値段を上げるなんておかしいね。」

「それにうちが契約している所はみんな美味しくて、安心、安全なものを食べてもらいたいって努力している所ばかりなんだ。」

「そうやって頑張っているのに、うちだけ努力しないで、みんなの努力で儲けちゃうのはおかしいだろ。」

「これまでのみんなの努力をムダにしないためにも、お客様と接点がある自分達は本当に頑張らないといけない。」

「野菜なんてすぐに作れるわけじゃない。それこそ長い時間をかけて育ててきた大切なものなんだ。」

「それが、自分達の接客態度が悪かったり、調理人の技術不足など、たった一瞬でダメにしてしまうんだ。」

「そんなことは、本来許されない。」

本当にハッとさせられた。

コートを脱いだり、荷物をまとめていたり、ドタバタしている所におしぼりを渡して、自分の仕事をおわらせようとしているお店がある一方、磨匠のように一息付いた絶妙のタイミングで渡すお店がある。

自分達のお店を繁盛させるためにしているのだろう・・・と思いがちだが、全然違った。

生産者達の想いを届けるために、自分達ができることをしている・・・。

この話を聞いて、お店を見ると、どこのお店と同じ光景が行われているのだが、その徹底ぶりに気が付くことが多くなった。

そのことを鈴木さんに話すといろいろと教えてくれた。

以前、飲食コンサルタントのコンサルティングを受けていた時には、お客様におしぼりを手渡した方が良いと言われて、言われた通りにしていたらしい。

そのようなテクニックばかりやっても、全然効果が出なかった鈴木さんは、「自分がやれることを、徹底的にやろう」と決意したのだけれど、決意をした後に、「なぜこれをやろうとしているのか?」、「なぜこれをやりたいのか?」、「なぜこれをやる必要があるのか?」と、自分の仕事を一つ一つ徹底的に突き詰めていったらしい。

そこから美味しい、安心なもの、安全なものを届けたいという想いがあることに気付き、少しずつ自分達の仕事を変えていったそうだ。

そんな鈴木さんの話の中で、特に印象に残った言葉がこれ。

「平凡の徹底と積み重ねが、非凡につながることをつくづく痛感したよ。」

含蓄のある言葉を頂いただけではなく、常に体現できるよう精進します。


追伸)
ということで、「和食亭・磨匠に連れて行って。」という人が周りに出てきそうなので、先に話をしておきます。

今回のお話はフィクションです。
和食亭・磨匠というお店は実在しません。

今回、起業から今まで仕事をしてきた中で、自分が実感していることを、飲食店を例にして物語風に書いてみたらどうなるだろう・・・ということで書いてみました。

ネット検索で「和食亭 磨匠」、「磨匠 新宿」と検索してくれた方がいらっしゃったら、こちらが伝えたかったことが何となく伝わったのではないかと思っています。

店主の鈴木さんと比較すると、まだまだ道の途中ではありますが、平凡の徹底と積み重ねを続けていきます。