2007/06/29

やる気と本気の決定的な違い

「やる気のある社員を採用したいですか?」

もしあなたが採用する立場の人間でこう聞かれたらどう答えるだろうか?

「もちろん、やる気のある社員を採用したい!」と10人中8人は答えるのではないだろうか。



そして自分が答えるとしたら、おそらく・・・。


「採用しない」と答えるだろう・・・。


ちょっと振り返ってみると、仕事において今まで「頑張ります!!」という言葉を聞いて、良い結果を得られたことがあっただろうか・・・。

「頑張ります」という言葉に必要以上に期待を膨らませて、残念な結果になったケースが多いのではないだろうか。

この「頑張ります」という言葉に対処する方法は別の機会に譲るとして、どうして残念な結果になってしまうのか、もう少し考えてみたい。

実は個人的には、「やる気がある人」よりも「本気の人」の方が良いと思っている。

「やる気がある人」と「本気の人」の決定的な違いは、責任感。
「やる気がある人」は実行にコミットし、「本気の人」は結果にコミットしている。

「やる気がある人」
一見すると、とても良さそうだが、良さそうに見えるだけに実に危険。

実行にコミットしているので、指示されるまで動かなかったり、より良い結果につながる実行はないだろうか・・・と、自分で考えることが少なくなりがち。

そして、指示されたことをこなすだけなので、結果が伴わなかった場合、指示した相手を非難しがち。

上記のようなネガティブなアクションをしない実に優秀な実行者(やる気がある人)も、たくさんいますが、結果に責任を持っていろいろと頭を使っている人と比べると、どうしても評価はしにくい。

ただ素直に言われたことをやるだけよりも、提案や疑問をどんどんぶつけてもらって、喧々諤々の議論をした後の方が結果につながるケースが多い。(今までの経験では・・・。)

頭に汗をかかないで、仕事で結果を出そうというのは、正直難しいかなと思います。

では、どうすれば「本気の人」になれるのか?

ここで大切なことは、本気になるためには目的と目標が必要だということ。

痛みの回避か、快楽の追求なのか、いずれにせよ強い目的、目標が、その人を本気にさせる。

例えば目標を例にすると・・・

今月末までに、20件の契約が取れなかったらクビ。(痛みの回避)
今月末までに、20件の契約を取ったら、給与20%アップ。(快楽の追求)

モチベーションの話とも絡んでくるので、ちょいと誤解を招きそうな例だけど、強い目的と目標がその人を本気にさせるということを何となく理解してもらえたら嬉しいです。

ということで、仕事をする時には、社会、お客様、会社、個人など様々なレベルでの目的と目標をとても意識しています。

そして「とにかく頑張ります。任せてください。」と、純粋なやる気を見せるのは良いことだとは思っていますが、それだけでは不十分だと考えています。

目的と目標の達成のために、”一緒に考え”、”実行する”パートナーとして、仕事をしていきたいと考えています。

これまで私がお会いし、個人的に尊敬しているビジネスパーソンの方達は、全員「本気の人」です。
そのような姿勢を見習いながら、少しでも近づけるように日々精進しています。

2007/06/27

Amazonの配送から学ぶIT活用

Amazonで本を注文した。

先日よりエクスプレス配送サービス「お急ぎ便」が使い放題になる「Amazon プライム」というサービスが始まっているが、それ以来、通常便の配送が遅くなっているような気がする・・・。(気のせいかな?)

ということで、Amazonって、どうやって配送しているのか気になってネットサーフィンをしてみた。

どうやら注文を受けると、アルバイトの人が倉庫の中を歩き回って、注文の本を集めてくるらしい。

それって、至って普通じゃん?

と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、面白いなと思ったのは、「本がバラバラに置かれている」ということ。

つまり、ジャンルごと、作者ごとに綺麗に整列されているわけではないということ。

これじゃあ、注文の本がどこにあるかわからないじゃんという心配が出てきますが、ご安心ください。

アルバイトの人は手元にある機器(ハンディターミナル?)を使います。
注文の本がどの辺りに置いてあるのかハンディターミナルが表示してくれるので、その指示に従えば大丈夫。

アルバイトが倉庫を周りながら注文の商品を集めてくる。

一見、非効率に思えることでも、その詳細を見ていくと納得。

もし機器を使わずジャンルごと、作者ごとに整列していた場合、いろいろな費用がかかってくる。
・棚に補充する際のコスト(ただ置いていくだけより時間がかかる)
・アルバイトに棚の整列を教える教育コスト
・アルバイトが提供するサービスのばらつき(棚の整列を覚えている人と覚えていない人の作業量の違い)
・本の売れ行きに伴う棚転換

などなど。
このようなコストがかかるなら、本を補充する時は、どんどん置いていって、データ管理した方がコストがかからないんだろう。(Amazonみたく巨大な物量あってのものかもしれませんが・・・。)

ということで、他の仕事でも事例がないか考えてみる。
若干異なるが、Web上でタグ付けなどを行うことも、従来の分類行為と異なる点で似ているかな・・・と思う。

フォークソノミーという言葉に代表されるように、IT機器や検索システムの発達により緩やかな分類が可能になってきたのかな・・・という感じはしますね。

となると、自分の仕事とも関連させてナレッジマネジメントの分野で使いたくなるような気がしてきます。
が、企業における蓄積情報の活用は、検索時のデータの精度がポイントになってくるような気がします。

例えば、Amazonの注文書はデータが決まっている、かつ抜け漏れがないので、緩やかな分類でも該当データ(本)を見つけるのは簡単。
(どちらかと言うと、検索時間短縮のためのインデックスを考える方に注力しているのでは?)

欲しい答えのイメージが明確で、かつそれを的確にデータとして表現できればいいのですが、ナレッジマネジメントの分野では往々にして、答えは曖昧だったりするもの・・・。

検索技術については以前にも書いたけれど(詳細はこちらを参照)答えがないものに答えを与えるのは難しいこと。

いずれにせよバランスの問題なので、答えがはっきりしているなら曖昧に分類し、答えが曖昧ならば、それなりに分類するのがいいのかもしれませんね。

費用削減と効率化を考えると、Amazonみたく物流など物理的なモノや人の動きを絡ませた方が効果が出そうですね。

2007/06/19

経営層が欲しいデータと意思決定の関係

ブログの投稿間隔が長くなると、お会いした方にいろいろと聞かれてしまう・・・。
ということで、久々の投稿ですが、元気にやっています。

そして、久々に書こうかなと思った時に気付いたことがあります。

それは・・・ネタがないこと。

日頃から「読者の方にとってメリットのあるネタは何だろう?」という視点で書こうとしています。
が、最近ネタ集めのアンテナを立てていなかったなぁということが判明。

いかん、いかん。

ネタ集めが出来て、それをうまく表現できて初めて価値があるのに・・・。

気分発散、自己満足型も一つの形かなと思いますが、最近は控えるようにしています。
(と言いながらも、まだ若干そのような感じが文面からあるような気はしています。)

ということで、最近印象に残っている話をひとつ。

お酒の席でのこと。

「この世の中ですごいクラブがあるんだよ。それって何だか知っている?」

ヒントなしでは、全く予想が付きません。

うーんと唸るまでもなく降参。

「それは・・・」


「ありがとうクラブ」

「始業前にお互いのいい所を褒めたり、ありがとうって言うだけで、何だかわからないんだけど、どんどん仕事がうまくいっちゃうんだから・・・。」

「そして、このクラブの本当に凄い所は誰でもすぐに始められること。」

「だけど、やっている人は少ないっていうのが凄いでしょ。」

こんな話の流れだったような気がする・・・。
(間違っていたらごめんなさい。都合の良い解釈をしているかもしれないです。)

実施すれば90%近くは効果が見込めるのに、なぜ98%の人は行わないのか?

数字は全くのデタラメです。
より深く考えるためにあえて数字を使って強調してみましたが、なぜだろう?

一つは、「本当に効果があるのかどうか実感ができない」というのがあるのかなと。

じゃあ、実感を持ってもらうために、具体的なデータや声を集めてみようというのがビジネス。
でも、やっぱり行動につながらない。

これもわかるような気がします。

例えば、「しぐれ」

毎朝のご飯で必ず食べたい・・・というぐらい大好きな食べ物ですが、食べたことがない人に、どんなにその美味しさを伝えても、「うまみ成分何%」という具体的なデータを伝えたとしても、わからない。

従って、たくさんのデータより、試食などちょっとした経験の方が伝わったりすることもある。

百聞は一見にしかず・・・というやつですね。

コンサルティングの現場で、経営層と話をしていると、一生懸命現場からデータを収集し意思決定につながる仕組にしようと考えていますが、ちょっとした試食(ふらっと現場に顔を出す)が効果が高かったりするのかなと思う時があります。

数字は不変的な性質を持っているので、意思決定の裏付けとして集めたくなるのはよくわかるけれど、過去の傾向がそのまま未来につながるわけではない。

ということで、「将来の見通しを立てる上で、本当に必要なデータは何か?」を意識しながら、何とか試食はできないものだろうか・・・というのを一緒に考え、取り組んでいます。

それにしても、この試食というのは曲者。
データと違って、人によって感じる所が違うので、共有が非常に難しい。

でも、とても必要なことだと思っています。
多くの人に賞賛される名経営者は、この試食の力が凄いのかもしれませんね。

では、どうやったらその力を身に付ける事ができるのだろう・・・?

2007/06/04

今までと全く違う料理番組

休日の朝に何気なく料理番組を観ていた。

すると衝撃の場面に出くわした。

なんとIHクッキングヒーターではないか!!!

いつの間に変わったんだろう・・・。




ここで単純な疑問が浮かんだ。

「料理番組では、IHクッキングヒーターとガスコンロどちらがいいのだろう?」

どちらがいいのだろう・・・というのにも、いろいろな定義が考えられそうだ。

・視聴率が良い
・観てくれた視聴者が料理をしてくれる

などなど。

上記ゴール設定の違いでも結果が変わってきそうだけど、15分の番組の間にいろいろなことが頭に浮かんだ。

「単身者が中心の賃貸マンションにIHは普及していないだろうから、ターゲットは主婦層かなぁ。
なんかIHだと先進的なイメージがあるから、演出的にはいいかもなぁ。」

「でも憧れで終わって、料理しようとなるのだろうか?まぁ、これぐらいの憧れなら大丈夫かなぁ。」

「火がないと中華料理なんかは、火が見えるガスコンロより美味しくなさそうだなぁ。」

「IHなら、お手入れがラクそうだ。番組制作側は歓迎しているかも。でもランニングコストはどちらがお得なんだろう?」

「火加減って、ガスコンロなら実際の火を見てわかるけど、IHの場合はパラメータの数字?それってどうなんだろう?」

「もしかしてこの番組の提供会社に電気会社が入っている?」

「調理場を見せているお店があるけれど、エンターテインメントとして考えると、”火”というのは欠かせない役者なのではないだろうか?」

「とは言え視聴者の生活実態に合わせるとIHの方がいいのかもなぁ。」

と、まぁ脈絡なく、いろいろなことが頭に浮かんだけれども経営的視点から、こんなテーマを考えてみるのも面白いかなと思いました。

電力会社の社員として、「料理をする時はIHが当然」という印象を持ってもらうために、料理番組以外に世間の目に触れやすい料理の場面が出てくるのはどこか?またどうやってそこにIHを導入するか?(もちろんSwitch! キャンペーンより低価格で効果は最大に。)
(例えば屋台がIHだとしたら・・・。)

ガス会社の社員として、上記電力会社の攻勢に対して、どのような対策を取るか?

そして周辺ビジネスをしている会社の社員として、お互いがガチンコ勝負をしている所でいかに収益を上げるか・・・。

料理を観て、ただ純粋に「美味しそうだなぁ。」と思っていればいいのに、余計なことを考えてしまった。
どうにかならんかなぁ。