2007/09/02

おもてなしの心とグッドデザイン

先日、友人の納車につきあい、あるカーディーラーを訪れた時の話です。

友人と話をしながら店内に入ろうとすると・・・

ガツン

入り口のドアにぶつかってしまいました。

よく見ると張り紙がしてあります。

「こちらのドアは締め切らせていただいています。」

左右あるドアのうち、右側半分が締め切ってありました。

「ドアにぶつかるなんて初めてだよ。」なんて話をしながら、中に入っていきましたが、このことについてちょっと考えてみました。

人が装置に対して何かを行おうとする時、次の4つの原則が守られていないと、それをスムーズに行うことができないと、認知科学者であるドナルド・A・ノーマンは指摘しています。

・可視性(次に何をすればよいか見ただけでわかる)
・対応付け(コントロールする手段とその結果の関係)
・概念モデル(経験の蓄積で出来上がった標準的なパターン)
・フィードバック(結果が直ちに明らかにされる)

今回であれば・・・

・可視性・・・ドアの手前に来ると、ドアが左右に開く
・対応付け・・・足を踏み入れると開く
・概念モデル・・・自動ドアの経験
・フィードバック・・・ドアが半分開かなかった

フィードバックの段階で何らかの事情があり、ドアが半分開かなかった。

これは何とかしなくては・・・。

ドナルド・A・ノーマンの指摘を出しながら、それっぽく小難しくしてみましたが、このような状態の時、訪れた方がドアにぶつかることなく店内に入れるように、あなたならどのようにしますか?

このディーラーの対応は可視性の所で、注意書きの張り紙を付けることで対応しようとしていました。

おそらく多くの方が、このような形で対応することを考えると思います。

しかーし、「おもてなしの心」や「相手の立場」に立てば、このような対応にはならないと思います。

そこで、もう一つ質問。

もしあなたが、高級車ディーラーで働いていたとしたら、どのようにしますか?

高級車ディーラーで張り紙はさすがにないですよね?

ではどうしたら良いのでしょうか?


考え中・・・。


考え中・・・。


考え中・・・。


ということで、私が考えた答えの一つはこれです。


「入り口のマットを半分(ドアが開くだけのサイズ)にする。」


入り口にマットがあれば、そこから入ろうとするのが普通です。
マットがあるのに、マットのない所から店内に入れるなんて思わないですよね?

だから、これをドアが開くサイズにして対応します。

先ほどの4つの原則で言えば「概念モデル」での解決ですね。

ということで、ここで伝えたかったことですが、個人的に「良いサービスだなぁ」と感じたり、気持ちがいい対応をしてもらった時というのは、「概念モデル」のレベルで対応してもらった時なのかなと思います。

「可視性での対応」と「概念モデルの対応」では決定的に違うことがあります。

それは、どれだけ頭に汗をかいたか。

概念モデルの対応になると、相手の立場に立って考えつくさないと対応策は思い浮かばないと思います。

だからこそ価値があって相手も喜んでくれるのかなと思います。

そんなサービスができるよう常に心がけていきたいですね。