2010/05/01

もしもあなたが牛丼屋の経営者だったら

いきなりですが、面白いエントリ記事を見つけました。

地下鉄の自販機の売り上げをアップさせた、IDEOのユニークな行動観察調査手法

私が好きな会社の一つであるIDEO社のお仕事ぶりが書かれています。

これを読んで面白いネタを思いつきました。

もしあなたが牛丼屋の経営者だったとして、会社の業績を伸ばすためにどの会社に仕事を依頼しますか?
次の3択からお選びください。

A、戦略コンサルティングファーム
B、広告代理店
C、IDEO

上記記事を読んだ後ですと、Cを選んでしまいますよね。

では、一般的なイメージで話を進めていきましょう。

Aを選ぶと、こんな調査結果と提案が出てきました。

翌日から猛烈な勢いで販売データの分析と各店の売り上げのばらつきを調べだす・・・。
調査の結果、売上単価の減少は見られなかったが、来客数が減少していた。
各店の売り上げのばらつきはあまり見られなかった。

顧客アンケートを見ると競合他社と比較して「美味しくない」という声が聞かれた。
そこで、社名を隠して各社との食べ比べをしてもらったが、そこでは差が見られなかった。
(むしろ他社よりも美味しいという結果だった。)

原価を見ても競合他社よりも会社規模が大きい分、低く押さえることができていた。
社内オペレーションなどでは、大きな問題は見つからなかった。
(むしろ業界のリーディングカンパニーとしてベストプラクティスが多数見られた。)

商品開発力も競合他社よりありますし、客数を増やすために、新商品を投入しましょう。

Bを選ぶと、こんな提案が出てきました。
来客数を増やすために期間限定値下げキャンペーンをやりましょう。
ここで新しいお客様にも食べてもらいファンを増やすといいのでは・・・。

このような状態で、経営者としてどのような手を打ちますか?
実際の現場では、こんなざっくりとした話で意思決定はなされませんが、練習としてお楽しみください。

客数を増やすために、新商品を投入する?
期間限定値下げキャンペーンを行う?

どちらも悪くはありませんが、その前にCのIDEOさんに聞いてみましょう。

ここでも質問があります。
「あなたがIDEO社員だとして、行動観察調査をしたら、どのような提案をしますか?」

早速、牛丼屋さんに行って店内を見渡すと「掃除をしてきれいにする」、「挨拶をしっかりする」とか、「片付けを手際よく行う」、「お水はすぐに出す」とか、割と当たり前の話が浮かんできます。

でも、そんな当たり前の提案をして、お金を貰えるんかいな・・・と思うと、もう少し注意深く観察する必要がありそうです。

注意深く観察していると、一つ面白いことに気が付きます。

観察の結果、今回はこんな提案をすることにしました。

その提案とは・・・

「丼の面を小さくする(丼の深さは深くして、盛る量は変わらないようにする)」

お客様の動きを見ていると、店員が「お待たせしました」と持ってきた時に一瞬寂しい顔をしています。
その瞬間を逃さずキャッチし、その理由を探っていくと・・・

そう、白いご飯が見えていたのです!!

お肉と玉ネギが盛られている隙間から白いご飯が見えている丼と、お肉たっぷりでご飯が見えない丼、どちらが美味しそうでしょうか?

もちろん後者ですよね?

でも残念ながら、お肉たっぷりの丼ではありませんでした。

さらに観察すると、この丼、提供するお店側にはメリットがありそうです。

丼の面が広いので、よそいやすいのです。
タレもこぼれず、1回で素早くよそうことができるので、提供スピードがアップします。

が、しかしパッと見た時に「美味しそう」に見えない。

理想は今までの丼で肉の量を増やすことですが、牛丼屋さんだけでなくハンバーガー店も含め、ライバルはたくさんいます。
そのライバルと戦っていく中でギリギリの値付けをしている以上、これ以上の原価アップは望めません。

そこで、丼の面を小さくしてお肉を盛ることに。
これで、少なくとも白いご飯が顔を出すことはありません。

この施策を行った結果、しばらくすると業績が上向きになってきました。

めでたし、めでたし。

さてさて、かなり強引な展開でしたが、いかがだったでしょうか?

実際にコンサルティングなどを行うと、社内でたくさんの課題が出てくると思いますし、改善すべきポイントもいっぱいあるのが普通です。

が、そこは全て問題ない・・・と仮定した場合、どうすればいいのか?

こう考えた時に、外部との接点であるお客様の行動を観察するというアプローチは、かなり有益です。

お客様がお金を払うことを考えると、社内よりまず社外の問題を解決する・・・という姿勢は経営者として常に持っていたい視点です。

社内は身近ですので、問題点も目につきやすいです。
ついつい、そちらにばかり集中してしまいそうになりますが、お客様の接点にある問題こそ先に解決しなくちゃいけないことが多そうです。
(細かい話をするとサービス業の場合、サービスを提供するのは社員になりますので、お客様の接点にある問題を解決するために、社内の問題を解決する・・・ということもありますので、ややこしいですよね。ざっくり言ってしまえば、みんながハッピーになるようにしなきゃねってことですが・・・。)

その意識を持って組織作りもしていかなくちゃなぁと。

それにしても、IDEOのような提案を行うのも大変ですが、意思決定を行う方も結構大変です。

キャンペーンや新商品投入の方が、数字やデータの裏付けが出しやすそうですし、何となくそちらの方が安心できるような気もしますよね。
(もちろん、そちらの方が良い結果が得られることも多々ありますので、これだという唯一の正解がない。)

どの会社に依頼するかも含め、その時々に応じて最適な意思決定が求められるのが経営の醍醐味ですね。
周りがハッピーになれる意思決定ができるよう日々の鍛錬が欠かせません。